消さない記憶
忘れてしまいたい記憶。思い出すだけでもつらい。でも、そんな記憶も自分を構成するひとつの要素には違いない。そこから抜け出そうとしてあがくから、前に進むこともできると思う。
早朝の渋谷の街。スプレー缶を携えた達彦は現代魔法使い美鎖に出会い、その言動に振り回される。一方、自称正義の古典魔法使い弓子は、渋谷の街に広がる不穏な気配を感じ取っていた。
渋谷に展開される2つの魔法。ガーベージコレクターが全ての記憶を消去しようとする時、達彦は、美鎖は、弓子は、そしてこのみは何を思って行動するのか。
今回の主役は美鎖です。自分に不利益をもたらすであろう決断にも、一瞬たりとて躊躇しません。世界観の構築に費やされた前回と違って、今回はそれぞれの行動の内側に焦点が当てられています。
主人公は誰?
コンピュータプログラムと魔法を微妙に絡めた2冊目の舞台は渋谷。
キャラクターの役割がしっかりしてきたおかげで主人公の存在はどんどん薄くなってしまうわけです。
それだけ周りの個性が強いのですが。
でもがんばれ主人公。気を失うまでたらいを出し続けるその根性気に入ったぞ。というちょっとネタバレを含めつつ。あとがきまでテンションの高い作者に次回作も期待します。