カスタマーレビュー政宗の人間がよく分かる一冊
下手な伝記よりも、伊達政宗という人物についてよく分かります。
その手蹟も端整でありながら力強く、いかにも武人という感じ。
奥州の名門伊達家嫡男で母も最上義光の姉妹なら妻も田村清顕の娘、というお血筋に相応しい教養と誇りの持ち主であったことが分かります。中央の覇権闘争に疎かった印象の在る辺境の奥州伊達家に、こんな教養人が居たのかと驚くばかり。おそらく、中央の戦火を逃れてやってくる芸術家と交わりがあったのでしょう。
母や弟との軋轢などがよく云われますが、この書簡集のなかにはそんな内輪のどろどろした部分はありません。奥州統一に若さと力を燃やした若き当主が、何処の馬の骨とも知れぬ天下人秀吉に膝を屈し、その後も天下の夢を捨て切れずに徳川時代を迎えるまでの政宗の肉声が聞こえるような政治書簡集がほぼ半分。いつも飛び回っていて余り構ってあげられない故郷の家族に向けた書簡の章もあります。
溢れんばかりの詩情を讃えながら、少しも自己憐憫に浸らない政宗は、やはりかっこいいと思います。